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【知恵の森】世の中の「善」と「悪」、とことん見据えた語り下ろし『世間はやかん』立川談志(著)
2010-06-07 11:40
今日の一冊は、元国会議員でもあり立川流家元の立川談志が古典落語「やかん」を元に、人間の本性と社会の現実を、自身の豊富な体験に照らして、鋭く語りかける一冊です。
古典落語「やかん」とは?
知ったかぶりの隠居のもとに八五郎が質問に訪れ、隠居が出鱈目言いまくるお話です。
しかしそこには家元流の一流のウイットあり、ジョークあり。非常に刺激的です。
なかでも「やかん」とは常識にとらわれた思考停止といいつつも、人間を常識から解放させる存在としての落語家を演じ切ります。
あまり、ネタばれになるので多くは語れませんが、一説だけ少し。
――御隠居、地球は丸いんですか?
ほう。おまえは確かめたことがあるのか?
――地球儀見ればわかりますよ。
お前、まさか文房具屋に売っているものを信用してるんじゃあるまいな。
落語という笑いの中に、権威に無条件に従ってしまうことに警鐘を鳴らし、人と人との関係性を気づかせてくれます。本書を読んで、笑うもよし、何が正しいのだろうと問い直すといったように、さまざまな読み方ができる本だと思います。
ぜひ読んでみてください