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【知恵の森】一級の歴史資料、しかも面白い『武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新』磯田道史(著)

2010-12-05 09:54


昨日、公開された映画『武士の家計簿』
今日の一冊はその原作になった武家の家計簿にスポットを当てた一冊です。

本書は、文字どおり江戸時代から明治時代にかけて、30年以上の長きにわたってほぼ絶え間なく書き付けられた古文書を神田の古書店で発見した著者によって書かれました。そこから垣間見えてくる当時の一般的な武士の生活の様子や、その一家のたどった歴史、伝統や因習、そして幕末の激動期に武士の身分にある者たちが何を考え、どのような決断をし、行動していったのかなどが丁寧に解説されています。

内容は、当時も今も変わらず、人件費、交際費、冠婚葬祭の費用などが必要で、武士の懐具合が伺えます。しかし、出産や教育など子供に関わるところは興味深く読んでみると感心させられます。

また当時の幕末の動乱期でその歴史背景もあり、この苦難をどうやってやりくりするのかと、身近な問題にもかかわらず、不思議とハラハラ、ドキドキさせられます。

映画では、綾小路きみまろCMのナレーションをしているようエンターテイメントに仕上がっています。しかし、ゆっくりと原作を読んでみるとまた当時の歴史をよく理解でき新しい気づきがあるかもしれません。

映画とおもに合わせて読んでみてください。ぜひおすすめできる一冊です。