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【知恵の森】真剣に住まいについて考えている方へ『日本人はどう住まうべきか? 』養老孟司 (著) 隈研吾 (著)

2012-09-27 12:55

養老「建築業界では、津波についてどい対応を考えていたんですか?」
隈「驚くべきことに津波に関してはノーマークだったんです」

この本、かなり本音で語られています。
本書は、東日本大震災以降の大問題。日本人の「住み方」について考えるがテーマ。都市集中。過疎。自然喪失。高齢化。そして、震災、津波。21世紀、どこに住み、どう生きるのが幸せかを『バカの壁』でおなじみの養老孟司氏と建築家、隈研吾氏の対談形式で語られます。

はじめに、かなりの雑談がそのまま本になっています。建築、住宅、不動産などに通じていない方はふざけているのかと誤解を生むかもしれませんが、かなり事実で本音です。

まずは、気になったお話をピックアップしてみましょう。


◎隈「かつての大工さんといえば、クライアントの家に絶えず出入りして、生活の癖を知りつくしていたので、そこに住んでいた人のニーズを汲み上げて、プランニングもアフターケアーもできたんですけど、いまはそうではない。作ったらおしまい。工事の時だけの使い捨ての存在で、その前もその後も、住んでいる人と関係がない」


◎隈「無意味な一律の基準をやめて、それぞれの土地で細かく計算して「だましだまし」やる」
 養老「その「だましだまし」という姿勢は大事なことですよ」


◎隈「日本のデペロッパーは、超高層にからむような大きなプロジェクトをでっち上げ、話題作りしない限り商売はできないという構造になってしまっています。」


◎養老「経済学の考え方は、つまり人間の欲望をベースにしているのかもしれません。だから、「こうありたい」というバイアスがつよくかかってしまう」


◎養老「建築ってロケーションが大事でしょう」
 隈「ロケーションで8割ぐらい決まります。建築家がやれることなんか限られているんです。ロケーションが恵まれていたら、だいたい勝ったも同然です」

◎養老「日本は、短期の手続き主義に陥っちゃたんですね。手続き主義って非常に安定していてシステムの中ではいいんですよ。手続き主義だけやっていくと、道は見えていて歩けるんだけど、最終的にどこに行くかわからなくなる。この道は安全確実に歩いて行けますよ、ということはわかるんだけど、じゃあ俺たちは、いったいどこへ行くんだよ、という」
 隈「一番危ない方にむかっている(笑)」

 
ここに書き記せないほど、お二人の面白く、役に立つ話が満載です。
家を建てたい方、子育てで子供をどのように育てるかで悩んでいる方は読んでおいて損のない内容です。

建築だけでも業界の裏話があり参考になる上、その社会背景まで、一刀両断します。まず、テレビなんかでは放送できない話も多々ありますので、ぜひ買ってみてください。