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【知恵の森】私たちが忘れたこと『虫眼とアニ眼 』養老 孟司 (著), 宮崎 駿 (著)』

2012-10-23 15:57

さまざまな子育ての方法がある。現在は非常にバラエティーに富み、脳の活性化から英語教育まで充実している。学校でも個性重視をうたいさまざまなプログラムが行われる。その結果、子供は賢く、発想豊かになったのだろうか?

本書は、解剖学者養老孟司とアニメーション作家宮崎駿が独自の視点から子供や若者をめぐる現状についてざっくばらんに語りあう対談集。

その内容は、自然と人間のことを考え、子供や若者への思いを語る。自分を好きになろう、人間を好きになろう、自然と生きるものすべてを好きになろうという前向きで感動的な言葉の数々は、時代に流されがちな私たちの心に響く。

特に冒頭で宮崎氏が描き下ろしている、22ページにも及ぶカラー漫画は秀逸。老若男女の誰もが「隠された自分の感覚や能力を発見できる」町の創設を、「養老天命反転地」をデザインした荒川修作とともに提唱している。とくに、保育園 や幼稚園を中心にして町づくりがなされているところが、子どもたちに関心を注いで映画作りをしてきた宮崎らしい発想できわめて、具体的に紹介される。

本書には、単なる知識やテクニックだけでなく、微小な特徴を感じ、それに感動できるセンスを持つことの重要性を教えてくれる。また、対談形式ということで非常に読みやすい。

宮崎映画を何度も見たという方は多いと思うが、そのエッセンスの本質を知るためにも読んで損のない一冊。お二人とも多忙なため、長期にわたる対談がなされ、二度とお二人が揃うことがないかもしれない。子供たちに。私たちに何が必要で、何が必要ないか。都市化した社会で私たちが忘れてしまったことを教えてくれる。